10日で覚える電子工作超入門 1
1日目 部品の名前と役割・記号
 ダイオード・トランジスタ・抵抗・コンデンサ・コイル・トランス・ヒューズ・その他

最初に:電子と電気

電気と電子は何が違うの。
電気を扱う関係では”弱電”と”強電”の分類が有ります。
強電は、主に電気を使ってモータをまわして仕事をしたり、明かりをつけたりして、電気のエネルギーを利用する技術を指します。
弱電は、電気を電子の流れとしてとらえて、流れをコントロールする技術を指します。

これから電子工作を行うので、電子について少し覚えましょう
元素を簡単にいうと、中心にプラスの電気を持った陽子と電気を持たない中性子があり、その周りを陽子と同じ数の電子が廻っています。
見たり確認したりは出来ませんが、原子のなかで電子は、居る場所(軌道)が決まっていて、一番内側は2個だけ、その外側は8個が定数となっています。

電池は化学の原理で電子が原子から一旦分離りして元に戻ろうとしますし、発電機は磁石を動かす力で電子が移動します。
この電子の移動が電流になります。


半導体

いきなりですが、半導体の知識は必要なので最初に持ってきました。
特徴
電気回路には電気を良く通す導体と通さない絶縁体と中間の性質を持つ半導体を使用します。
半導体は今はシリコン・昔はゲルマニウムをベースにして種類の違う金属を少しだけ混ぜます。

シリコンもゲルマニウムも最外郭に4個の電子をもつ元素で、隣の原子と電子を共有し見かけ上8個の電子を持ち、とても安定した状態となるので電気を通しません。 最外郭に5個の電子もつ元素(ヒ素・リン)を少量混ぜると安定状態の中に少しだけ電子があまってしまいます。 これををN型半導体といいます。このあまった電子は電圧をかけるとプラス電圧の方向に移動します。

今度は最外郭に3個の電子をもつ元素(ガリウム等)を少量混ぜたものをP型半導体といいます。N型半導体では電子が余っていましたが、今度は不足しています。この不足部分を穴(ホール) と言って隣から電子が移動すると穴が移動するように見えます。P型半導体に電圧をかけると穴はマイナスに近づきます。

P型半導と体N型半導体を張り合わせると(実際にはシリコンをPまたはNにした後、半分の厚さまで逆の原子を2倍の量を打ち込みN又はPとする)PN接合の半導体が出来ます。これがダイオードです。P側にプラス・N側にマイナスの電圧を印加すると穴は接合面を通過してマイナス電極まで移動し、N型半導体の余り電子は接合面を通過しプラス電極まで移動します。穴の移動も電子の流れなので、電子がマイナスからプラス電極に向かって流れます。

逆にP型にマイナス・N型にプラスの電圧を印加すると、穴や余り電子は接合面を通過することなく移動して終りになります。つまり連続して電流は流れません。

これがダイオードの片方向だけに電気と通す原理になります。フッ!一息入れよう。

ダイオード

特徴
極性のある2端子でそれぞれアノード(A)・カソード(K)と呼ぶ
カソードに印(線)が付けられている。
順方向電圧:電流を流した場合抵抗のように電圧と電流に比例関係は無く、ほぼ特定の電圧を示す。

用途
種類によってさまざまな用途がある。

種類順方向
電圧
特徴
整流用ダイオード0.7交流電源を直流に変換する
信号用ダイオード0.6多用途、電流が小さい
発光ダイオード1.5文字通り発光する
ツェナーダイオード逆方向で使用する
定電流ダイオード変化規格の一定電流を流す
ショットキーバリアダイオード0.4動作が速い
1Sxxxの記号が付けられることが多い。
各種ダイードの記号

トランジスタ

特徴
3端子でそれぞれベース(B)・コレクタ(C)・エミッタ(E)と呼ぶ
極性が、PNP・NPN の2種類ある。

用途
電流を増幅したりスィッチしたりする。
扱える電圧・電流・電力によってさまざまな種類がある。
小信号用や電力用があり 2S*xxxx となる(*はA・B・C・D)
下記の表は大まかな分類だが、用途はかならずしも拘束されない

記号極性用途
2SAxxxx PNP 高周波用
2SBxxxx PNP 低周波用・電力用
2SCxxxx NPN 高周波用
2SDxxxx NPN 低周波用・電力用
トランジスタの記号

抵抗

特徴
2端子で極性はない。


用途
電流の調整・電流から電圧への変換

種類特徴
カーボン一般的 1/4W位:誤差5%が多い
金属皮膜アナログ回路 1/4W位:誤差1%が多い
セメント1〜20W位
ホーロー10〜100W位

どんな抵抗が使えるの。
製造される抵抗やコンデンサには決まった数値があります。
Exxシリーズと呼ばれています。 コンデンサは種類が少なくE6・誤差5%抵抗ではE12・誤差1%抵抗ではE24シリーズがよく使用されます。

E6   10・15・22・33・47・68
E12  10・12・15・18・22・27・33・39・47・56・68・82
E24  10・11・12・13・15・16・18・20・22・24・27・30・33・36・39・43・47・ 51・56・62・68・75・82・91

E24シリーズでは 10Ωから 100Ω未満までに 24本 100Ωから 1000Ω未満までも 24本の種類があることになります。


抵抗の組合わせ・合成

抵抗は組合わせて違う抵抗値を作ることが出来ます。
抵抗値を [R1]・[R2]とすると
直列は [R1]+[R2]
並列は [R1]x[R2] / ( [R1]+[R2] ) となります。

33kΩと47kΩで計算する場合は、33と47で計算します。33000と47000で計算すると大変です。

コラム : 電卓で R1と R2の並列抵抗の計算する
[R1]+[R2]÷=×[R1]×[R2]=  これで計算できます。
[R1]÷[M+] [R2]÷[M+] [Mrc]÷=  メモリ電卓ならこれもOK、でも 2度目にメモリクリアを忘れるとダメ。

最近は分かりませんが、カシオの電卓では出来ません。
おまけ : 1.2345679×18=27=36=45=54=63=72=81=9=  どうですか? 8桁電卓だけです。

部品の記号

コンデンサ

特徴
2端子で無極性と有極性がある。


用途
電気を蓄える・時間によって変化する電圧を滑らかにする。

種類特徴
積層セラミック積セラ:IC1個に1個付ける
フィルム積層フィルム:時間・周波数関連
ケミカルケミコン・電解コン:電源の整流・電圧安定:一般品は極性がある
タンタルこのコンデンサは使用しないで下さい。コンデンサは直流を通さない部品ですが、このコンデンサは導通状態で頻繁に故障します。 特徴は「値段が高くて故障しやすい」です。

コンデンサの組合わせ・合成

コンデンサも抵抗と同じく組合わせて違う値を作ることが出来ます。
計算は抵抗と逆で。並列はそのまま加算:直列は [C1]x[C2] / ( [C1]+[C2] )

コラム : HPの電卓
括弧付きの数式でも数式通りに計算できる電卓が売り物だったころ、数式通りでは全然計算できない電卓がありました. それはHP(ヒューレット・パッカード社)の電卓でした.
2+3 を計算するには、普通 2+3=で計算できますが、その電卓は 2 [Enter] 3+ とキー操作します。
これがとても便利なのです。
[C1]と[C2]の直列容量を計算するには、[C1] [Enter] [C2] X [C1] [Enoer] [C2] +÷ で計算できました。
これは逆ポーランド記法と言われる計算方式で、メモリ(スタック)を効率的に使用した計算方式でした。
多分こんな計算でもできたかも。: [C1] [1/x] [C2] [1/x] [+] [1/x]

部品の記号

コイル

特徴
2端子で極性はないが、巻き方向が重要な場合もあり。

用途
ノイズの吸収・スイッチング電源

種類

部品の記号

トランス

特徴
鉄芯に複数のコイルを巻き付けてある。

用途
交流の電圧を変換できる(100V→12V等)。

部品の記号

ヒューズ

特徴
2端子で極性はない。一度動作(電流遮断)すると線が切れるため再使用できない。

用途
過電流により溶断して、電子回路を保護する。

種類
サイズ:大小2種類
即断ヒューズ:瞬間的な電流で切れる。
スローブロー:瞬間的な電流は通す。
温度ヒューズ:特定温度で切れる。
ポリスイッチ:定格の2倍の電流に達したら電流が流れなくなり電流を切ると回復する。

ポリスイッチは大変便利ですが、使用できる電圧に制限があったりするので要注意です。

部品の記号

その他



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