10日で覚える電子工作超入門 4
- 昨日設計した回路を作ってLEDを点灯する
- LED回路を測定
- 直流と交流
LEDで交流と直流を区別する
- トランスを使った電源
78xxと79xx
- コンデンサの容量計算
設計した回路を作ってLEDを点灯する
まず部品を取り出して見ましょう。抵抗は100本袋入りなら、抵抗の素性を書いた紙が入っているはずです。
抵抗の種類・値・ワット数等が書いてあります。1kΩになっていますか? 抵抗は左右にリードがついています。
テスタで抵抗値を測って見ましょう。
オートレンジならΩの位置、あるいは適切なレンジにレバーを回します。
テスト棒は黒をCOMに、赤をΩに差し込みます。赤と黒のテスト棒を短絡して見ます。ほぼ0Ωを示しましたか?最小桁は0で無い場合も
ありますが、ほとんどは誤差の範囲です。テスタによってはここで 0Ω調整を行います。
抵抗の両端のリードのそれぞれ赤と黒のテスト棒を当てます。1kΩなら両端を手で触っても正しく測定できますが、抵抗値によっては
両端を手で触ると測定の誤差になるので、片側だけ手で押さえ反対はテスト棒の先端だけで触ります。
何本か測って見ましょう。少しばらつきがあると思いますが、同じ袋の物は同じようにずれているものです。
今取り出した抵抗は1袋だけなので、余った抵抗は袋に戻してもかまいませんが、2種類以上の袋から抵抗を取り出した場合は、
余った抵抗は棄ててしまいましょう。いくら注意していても、間違って違う袋に戻す場合があります。抵抗の袋に違う値が混ざっていた
場合、必ず何時かトラブルの原因になります。抵抗はトラブルの少ない部品なので、抵抗値が違っているとはなかなか原因として気付きません。
このトラブルで失う時間を考えたら、数本の抵抗を棄てるのは賢い選択です。(経験者は語る)
カラーコードの落とし穴:抵抗はカラーコードで表示されています。1%の13kは、茶橙黒赤茶となります。
見慣れると1%の茶と最初の茶はすぐに分かるのですが、うっかり逆に茶赤黒橙茶と読んでしまうと120kになります。ご注意。
LEDは片側に2本のリードがついています。長さが少しだけ違うと思います。長いほうがアノードで、電池のプラス側につなぎます。
テスタにダイオードマークがある場合は、レンジを合わせ赤棒を長いアノード・黒棒を短いカソードにあわせて見ます。テスト棒は片手で箸のように
持ってLEDに当てます。テスタによっては点灯しない場合がありますが、普通はLEDが点灯します。赤黒を逆にすると点灯しませんので、確認して下さい。
電池ホルダに電池を入れ電圧を測る。乾電池は1.5Vとなっていますが、新品の電池は1.6V以上あります。テスタを電圧レンジにして測ってみましょう。
赤棒がプラスの場合、6.5V位の電圧が表示されるでしょう。-6.5Vになった場合は極性を確認して下さい。テスタのコモンに赤棒が
刺さっていたりすることがあります。これは重大な問題で極性を逆に測っているのに気付かずに測定するとトラブルに悩みます。
デジタルテスタでダイオードや抵抗を測る場合は、赤棒=アノード(+)ですが、針式テスタでは黒棒=アノード(+)です。デジタルとアナログではテスタの仕組みが違います。
前置きが長くなりました。これからハンダこてを暖め作業開始です。
- LEDのアノードだけ 10mm位に、抵抗の片側だけ 5mm位切ります。それぞれ切った側に 2mm位ハンダを付けめっきします。(予備ハンダ)
- 予備ハンダを行ったリードを2mm位重ねてハンダこてをつけます。それぞれの予備ハンダが解けてからこてを離すと、面白いようにくっつきます。
- 抵抗の反対のリードは LEDのカソードと同じ長さに切り、それぞれ予備ハンダします。
- 電池ホルダから電池を外し(1本だけでも良い)、端子の予備ハンダを行い、プラス端子に抵抗、マイナス端子にLEDのカソードをハンダします。
- ちゃんとハンダが付きましたか。電池を入れてみましょう
- LEDが点灯しましたか。点灯しなかった場合は、ハンダした部分がどこかに触れていませんか?電池が逆でないですか?
LED回路を測定
電圧測定:電圧は完成している回路で測定したい部品の両端にテスト棒をあてテスタの数値を読み取ります。
電流測定:電流は一旦回路を切断して、切断部分を電流計(テスタ電流レンジ)で接続します。
テスタを電圧レンジにして、電池ホルダの両端・抵抗の両端・LEDのアノードとカソードの3個所の電圧を測ります。
小数点以下 2桁目で4捨5入して 4.26Vは 4.3Vのように読み取ります。
抵抗と LEDの電圧を足したら、電池の電圧になったでしょうか? 0.1か0.2Vの誤差は出るかもしれません。
抵抗の電圧を抵抗値(1000)で割ると電流になります。(実際にテスタで測った抵抗値を使用するとより正確になる)
電流は電池ホルダの片側(抵抗でもLEDでも)のハンダを外し、テスタを電流計として回路の間に、はさむようにして測定します。
(20mAより大きいレンジを選択)
さて、電流の設計値 4.3mA・抵抗の電圧による計算値・電流計による実測値を比べてください。
電池の電圧とLEDの電圧を 6V・1.7Vと仮定しましたが、実際にはどうでしたか?
抵抗を 500Ωと 2kΩに変更してそれぞれ電圧・電流を測定して見て下さい。1kΩの抵抗は 2本直列にすると 2kΩ:並列にすると 500Ωに
なるのでテスタで確認して下さい。
計算では、2kΩでは、2.2mA・500Ωでは 8.6mAです。実際に測定してください。
電池の極性を逆にすると点灯しないことも確認して下さい。
直流と交流
抵抗による電圧の分割
- 1k・10k・10k・20kの4本の抵抗を直列にハンダして電池ホルダにハンダしてから電池を入れます。
- 電池の電圧と、それから4本の抵抗の電圧をすべて測って次のことを確認して下さい。
- 各電圧は次の記号を使います:電池-Vbt・R1-Vr1・R2-Vr2・R3-Vr3・R4-Vr4
- Vr2と Vr3は同じでしたか?
- Vr4は Vr2の 2倍でしたか?
- Vr1は Vr2の 1/10でしたか?
- Vr1から Vr4まですべてをたすと Vbtと同じでしたか?
- Vr4は約 3Vでしたか?
抵抗を組み合わせると元の電圧から任意の電圧を取り出すことが出来ます。(大きくは出来ない)
ここから AC100V を扱います。注意事項は読み終えていますね!
- ACプラグ付きコードをプラグの無い側を 20cm位切り取っておきます。何もつながっていないコードを”何も無いから良いだろう”と勝手に
判断してコンセントにさしたりしないで下さい。先端が短絡している場合があります。
- 20cm切り取ったら 15cmほど左右に分離して、片側だけ 10cm切ります。左右の長さが違うと万一の場合の事故の確率を低くします。
- この配線図を見て下さい。
トランスは種類が多く選択に困る部品です。
- 1次側:2次側に巻線があり交流電圧を変換します。
- 1次側は 0V--100Vの巻線です。0V--100V--110V のように3つ以上の端子があるものも有ります。
- 2次側は 0-10Vでも 0-12Vでも使用できますが、次の製作を考えて 0V--12V--24Vの巻線のトランスの 0--12を使用します。
- 12V--0V--12Vの表示でも機能は同じです。
- 電流は 0.1Aか 0.2Aあれば十分です。アンペアが大きすぎると扱いにくいのと、事故の場合被害が拡大します。
- 1次:2次の巻線の抵抗値を測っておいてください。後で参考にします。1次が大:2次が小です。又 1次と2次の間の抵抗を測定しても測定できないことを確認して下さい。
1次と2次は絶縁されている必要があります。
- 短いほうにヒューズホルダをつけ(ヒューズは極性なし)切り取った 10cmの電線でヒューズホルダとトランスの 1次側をつなぎます。
- 1次側の片側に ACコードの長いほうをハンダします。
- 2次側には、切り取った 20cmのコードをハンダします。コードの反対側は、2cmほど長さを違え、5mm剥いて予備ハンダします。
- 抵抗と LED 2個の逆接続を作ります。
LEDを2個重ねアノードとカソードを合わせてねじります。LEDはねじりすぎると千切れ安いので、千切れたらやり直してください。
これに抵抗 1kΩをハンダします。
- ACプラグの両端のテスタを当てて抵抗を測ってください。測れない。あっまだヒューズが入っていないですね。
0.1A〜0.5A位のホルダにあったサイズのヒューズを入れてください。
このヒューズは短絡事故が有った場合にしか切れないので余り厳密ではありません。でも重要です。
- 再度抵抗測定です。3.で測った 1次の抵抗が測れればOKです。
- 次にACプラグの片側(どちらでも可)と 20mのコードの片側です。絶縁していればOK。
- 同じくACプラグの片側とトランスの鉄の部分(塗装してあるので剥がしてから)の絶縁を見ます。抵抗があればダメです。
- ハンダ部の目視検査・強度検査を行います。ひげのような細い線が出ていないか注意してください。
- 9.10.11.12.の検査にすべて合格したら、AC100Vのハンダ部をすべてテープで2重以上巻いて絶縁してください。
- ここで 20cmのコードの短絡に注意してコンセントに差し込みます。異常があればすぐに抜いてください。
- テスタを交流電圧レンジにして、20cmコードの両端の電圧を測定します。トランスの規格より 10〜15%位高い電圧が出ていると思います。
- AC電圧の測定が終わったら、コンセントから抜いてください。
重要:ここで作る LEDを AC100Vのコンセントに差し込むと、目の前で火花が飛び散ることを保証します。
絶対にやってはいけません!!
- 20cmコードに、7.で作った LEDをハンダして、コンセントに挿し込みます。
- LEDが 2個とも点灯すればOKです。
- 取り外し、電池ホルダにつけてみます。片方の LEDしか点灯しません。
- 電池の極性を逆にすると、点灯するLEDが交代します。
- そうです、AC100Vからトランスを通した電圧は、両方向に電流が流れているのです。
関西では 1秒に 60回・関東では 1秒に 50回電流の方向が変わっています。これが交流です。
(ハンダする・つなぐ・接続する:テスト棒を当てる場合以外は、同じ意味と思ってください。)
トランスを使った電源
- この配線図を見て下さい。配線図は見慣れてきたと思いますが、いきなり難しくなってきました。
記号 | 名称 | 規格 | 数量 |
P1 | ACプラグケーブル | AC125V・7A・1.5m | 1 |
F1 | ヒューズ | 0.2A | 1 |
T1 | トランス | 0-12-24V | 1 |
D3 | ブリッジダイオード | 50V1A以上 | 1 |
C1・C2 | 電解コンデンサ | 470〜1000μF | 2 |
C3・C4 | 積層セラミック | 0.1μF | 2 |
C5・C6 | 電解コンデンサ | 10μF | 2 |
U1 | 3端子レギュレータ | 7812 | 1 |
U2 | 3端子レギュレータ | 7912 | 1 |
- インターネット上でデータシートを探し、情報を手に入れましょう。
- トランスまではLEDで使用したものと同じです。他はユニバーサル基板の組上げます。
- ダイオードの向きが難しいので、実物の絵を書いて配線の補助とします。(実態配線図)
- 前回行ったAC100Vの検査はここでもやって下さい。
コンデンサの容量計算
参考:電源の動作原理 説明で使用している図番はこの図面内の番号です。
交流は時間とともに電圧の変化があります。瞬間的な電圧は常に変動しています。分かり易いのは最大電圧です。
抵抗に電圧をかけたら発熱しますが、最大電圧が直流の電圧と同じだったら、発熱量は交流のほうが小さくなります。そこで発熱が同じくなる電圧を実効値と呼び
普通交流の電圧や電流は実効値で現します。
AC100Vと言うのは実効値なので最大値は 1.4142・・倍の 141.4Vが最大電圧となります。トランスは 12Vなので最大電圧は定格で 17Vです。
トランスの定格電圧と言うのは、表記してある定格電流を流した時に定格電圧になるので、無負荷では10〜15%くらい電圧が出ていますが、設計で使用する電圧はあくまでも定格電圧です。
交流の 12V→最大値 17V(図1):ダイオードによるロス→0.7V(図2)図3の最大値は 17-0.7=16.3V
3端子レギュレータによるロス→2V:3端子レギュレータの最低入力電圧は、出力電圧+ロスで12+2=14V:この14Vより低くなると図6のような出力になります。注!図では出力5Vで説明しています。
これで図3の山と谷の電圧が求められたので式に当てはめます。V=it/C を変形して C=it/V
iは電流:0.2Aで設計します。tは山と山の時間:関東では 10msec:Vは16.3-14=2.3V
C=it/V=0.2*0.01/2.3=0.00087=870μ:E6シリーズから探すと1000マイクロになります。
ここの実験では0.1Aも有れば十分なので、i=0.1で計算すると、470μでもOKです。使用する電流で決定します。
まとめ
- トランスの定格とダイオードの数から入力電圧を求める。
- 3端子レギュレータのデータシートからロスする電圧を調べ、出力電圧に加算し必要な電圧を求める。
- C=it/Vの式で計算しE6から探す。基本は近いものではなく計算より大きいものを選択する。
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